#01-10. 縄文杉トレッキング編03_Wilson Stump
[Yakushima Jomon-sugi trekking, Wilson Stump]
いよいよ縄文杉も近くなってきた。
恐らく今週で「縄文杉トレッキング編」は完結を迎えることができるだろう…
ウィルソン株まで来ると、いよいよ縄文杉もあとわずかだ。
ウィルソン株から縄文杉までの距離は残すところ2kmを切り、およそ1.8km程となる。
ここを過ぎるともう辺り一面は雪で真っ白の世界。
信じられないかもしれないが、「冬」に逆戻りした感じだ。
それはそのはず、今年の屋久島は36年ぶりの豪雪…
山の天気は変わりやすいというが、この光景は完全に予想だにしていなかった。
Sankara Hotel&Spa屋久島に到着した日、ホテルのプールの水でさえ手を入れたとき「十分泳げる」と判断したくらいの温かさだったのだ。
勿論、トレッキングガイドからもホテルスタッフからも一切そのことについては触れられていない。
故に驚きも倍以上となる。
さあ、ここから「ウィルソン株」のエピソードを紹介し、最終目的地でもある「縄文杉」の紹介だ。
大株歩道入口_ Okabu National Trail Entrance
トロッコ道の終点を迎え、既にどれだけ歩いたのだろうか…
大株歩道入口より0.4km程歩くと屋久杉オールスターの「翁杉」の登場だ。
まずはその道のり迄の紹介をする。
まだこの時点では雪は時々見かける程度。
途中沢に沿って進んだり…
沢を渡るような場面に何度も出くわす。
こういう場面が多くなるとトレッキングシューズの威力が発揮される。
石・岩に苔がつき、如何にも滑りやすそうな場所でさえ、しっかりグリップが体重を支え、踏ん張ってくれるのだ。
靴の中には一切水は入ってくることはなく、足首の負担や怪我もしっかりとサポートしてくれるから安心できる。
私にとってそういう存在であったことは間違いない。
沢が近くにあるため、空気にも流れが生じ、この周辺のみ雪は見かけない。
いままでの単調なトロッコ道と比べるとまた違う風景を楽しめるのだ。
時に、新緑の大自然に囲まれ、丸木と板で組まれた階段に沿って進んでいく…
傾斜のキツイ道を進むことも多くなり、到底「道」とはいえない崖と隣り合わせのルートをただひたすらに歩く。
沢の湧水の地が近いのだろうか、傾斜にそって水の流れがある場所も珍しくない。
至るところに直径1m~2mを越す杉も目につくようになり、もう珍しい光景ではなくなってきたように感じた。
ヒメシャラの「茶」が色鮮やかで美しく映える場所もあった。
時には、木で組まれたアーチを通り抜け進むルートもある。
ここに「もののけ(物の怪)」が住むといっても誰も疑うことはないだろう。
誰もがそう思える場所だ。
台風の影響だろうか、1本の大きな倒木があった。
この倒木がキャンパスであるかのように見事なまでに苔で彩られている。
日本とは思えない別世界のようだ。
今日、紹介している屋久杉の木々達がどれだけ大きなものかは皆わからないと思う。
この倒木も直径1.5mはあろうかという大きさだ。
しかし、それを信じることができないのは自分がその場にいないから。その場にあえて身を置くことでわかることも多い。
次の写真を見れば誰もがその大きさに驚くはずだ。
さて、あなたはどう思いどのように感じるのでしょうか?
写真の女性の身長は恐らく160cm前後ではないかと思います。
その女性が小人にでもみえてしまうくらいの圧倒的な存在感…
この1枚の写真からこの木の大きさを想像してみてください。
屋久島の自然が他とは「異質」だとわかる。
この頃になると、私はこのような屋久杉の自生する森に一体化し、それが疑うことのない「自然」な姿なのだと心と身体が受け入れるようになっている。
根が階段となり、足場をつくる…
私たちを「縄文杉」までいざなっているようだ。
その中をひたすら「歩き」「歩き」「歩いていく」…
私は今でこそ現実世界に舞い戻ってきてはいるが、ついこの前迄この世界に身を置いていたのだ。
今でもその感動ははっきりと覚えている。
大自然の中で私たちは「生かされている」そんな表現が正しいと思ったくらいだ。
暫くすると、「翁杉」が私たちを出迎えてくれる。しかし…
樹高: 23.7m(倒木前)
胸高周囲: 12.6m
推定樹齢: 2000年
標高:1000m
2010年9月10日、枯死していない屋久杉の中で縄文杉の16.4mに次ぐ太さである「翁杉」が倒れているのを観光客が見つける。
翁杉が倒れた理由について、実ははっきりとしていない。
環境省屋久島自然保護官事務所の調査から推測すると結論は以下のようだ。
幹の内部で空洞化が進み、上部より欠損が進む。
そして、幹自体が「翁杉」の重みに耐え切れなくなったことが原因で倒れたのではないか…という説が有力である。
現在は地面より高さ約3メートルの部分から折れ、その奥に幹(翁杉)が横倒しになっている。
上部が枯れて欠損し、幹の一部は空洞化した原因は分からない。
とても残念な光景だった。
ここ翁杉の倒木地点より200mほど歩いたところに、いよいよ「ウィルソン株(Wilson Stump)」が登場する。
Wilson Stump …
樹高: —-m(倒木前)
胸高周囲: 13.8m
推定樹齢: 2000年
標高:1030m
根回りは30mを越し、直径4.4m程の大きさを誇る。
1586年に牧村の五郎七が足場を組み、豊臣秀吉の命によって「方向寺(京都)」建立を目的に伐採された。
なぜ「ウィルソン株」という名がつけられたのかということに触れると、大正時代アメリカのある植物学者がここ屋久島を訪れ、屋久杉について調査をした。
その植物学者ウィルソン博士の名前にちなんで命名されたようだ。
現在、切り株の中は中央より腐敗が進み、大きな空洞を作っている。
空洞の大きさはおよそ10畳ほどの大きさとされ、中で泉が湧き小さな流れをつくっていた。
10畳ほどの広さについて、正直私はそこまでは感じることができなかった。
ここではオモシロイ現象を目にすることができる。
空洞となった内部より上を見上げ、「ある場所」と「ある角度」から一定の条件下で撮影すると下の写真のような「ハート」を撮影することができる。
地元のテレビで放送されたことを機に、「恋の祈願」(=験担ぎ)の地として一躍有名となったそうだ。
(私はモチロン知らんかったゾ)
女性の間では、携帯の待ち受け画面に活用されていることも多いという。
ウィルソン株を過ぎ…
ここから縄文杉迄とうとう残すところ1.8kmの距離となる。
ウィルソン株を過ぎ暫くすると、辺りは一面雪となる。
ここからは雪が積もり、急激に気温も下がる。
故に縄文杉の手前「大王杉」「夫婦杉」の所まで1枚も写真を撮ることができなかった。
手袋をはずすと手が凍えてしまうような寒さが身を包む。
そのくらいの厳しい寒さだった。
そして、暫くすると…
立派な足場が組まれた櫓(やぐら)が目の前に出てくる。
この櫓こそ「縄文杉展望デッキ」だ。
とうとうこの先に「縄文杉」が待ってるのだ。
徐々に興奮の度合いが高まっていくのがわかる。
ここまで来る上で溜まった「疲れ」は今は微塵にも感じない。
まるで私の身体と脳が「疲れ」よりも「感動」をすべての細胞で受け止めることを望んでいるようだ。
いよいよ縄文杉と対面する瞬間が待ち構えているのである。
to be continued…
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